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第一話へ第七話へ「素晴らしいわ。これで繋属の儀式はすべて完了した。あなたの魂は今、トオル、魔力を鎧って常人を超越したわ。その力で、あなたの望むことを成し遂げなさい」
「ああ、僕は僕の望むことを成し遂げる……」
私が腰を上げると、ごぼりと粘液がこぼれ、トオルの魂は私の魔力に包まれたままトオルの中に戻って行きました。私のお腹の中には、トオルの魂の断片が、しっかりと囚われています。私は愛おしく思い、お腹を撫でました。これで私はトオルの魂の動揺を正確に察知することができるばかりでなく、トオルの感情や情動に動揺を加えたり、ある程度制御したりすることができるようになったのです。
トオルはその日以来、独りでいるときにマスターベーションをして過ごすことが多くなりました。トオルの魂の中では、「憎悪」と「殺意」と「快楽への期待」とが嵐になって吹き荒れていました。私は、ペニスを握って一生懸命に擦るトオルの後ろで魂の手綱を握り、決して快楽の絶頂に達せさせないようにしました。トオルは、擦っても擦ってもいけず、魂の嵐をもっともっと強く吹き荒れさせました。トオルにとって、快楽への期待が高まれば高まるほど、ケイスケへの憎悪と殺意が高まっていくことになるのでした。トオルは、今や、アヤを救うことなど忘れていました。猿のように快楽を追求し、それと連動して、ケイスケを殺す、ただそれだけのことを成し遂げたいと願うようになっていました。
日曜日になりました。決戦の日、トオルにとっても決戦の日ですが、私にとっても、トオルの魂をどれだけうまく穢せるか、決戦の日です。アヤやケイスケにとっては、何の変哲もない、幸せな日常の中の一日だったはずの日でした。それを今日、トオル、あなたは壊しに行きます。さあ、始めましょう。楽しい喜劇の幕開けです。あなたに最悪の一日を。
アヤのデートは13時に待ち合わせと聞いていたので、私は猫の姿になって、正午に吉祥寺に降り立ちました。日曜日のお昼時、幸せそうな親子やカップルの姿は私には毒でしたが、トオルのためです、なるべく人に見つからないところで私はアヤとケイスケを待ちました。二人は13時少し前に吉祥寺駅北口で落ち合い、サンロードを抜けてカラオケ店へ入って行きました。
トオルの魂に直接語りかけます。
『トオル、聞こえる?』
『ああ、いま三鷹を過ぎたところだ』
『二人は予定通りカラオケに入ったわ。部屋の番号は13。ご利用は2時間だそうよ』
『そうか』
『トオル、あなたは別の部屋に一人で入り、店の人に怪しまれない程度に適当に歌っていなさい。ケイスケのいる部屋は私が見ておいてあげる』
『わかった。突入のタイミングは見計らってくれるんだろうな』
『もちろん。最高のタイミングで突入させてあげる』
第九話へ
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