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聖トリニティ退魔士会 第一話

※この物語はフィクションです。実在する個人・団体とは全く関係ありません。※また、キリスト教の皮をかぶった新興宗教を描いていますが、キリスト教を貶める意図はありません。オウム真理教を非難していても仏教を非難しているわけではないのと同様の事情と思っていただければ幸いです。 大学のラウンジ、カウンター席で独り本を読んでいると、「あの、すみません」と女性の声がした。顔を上げると横には、俺と同じ年ぐらいの女の...

聖トリニティ退魔士会 第二話

第一話へ「うーむ、でも、キリスト教も当時は新興宗教だったわけじゃないスか。そう考えると、えーと、ナンだ、それはトマスが正解ですよ。見ないで信じたらどんな悪徳に騙されるかわかったものじゃない」...

聖トリニティ退魔士会 第三話

第一話へ第二話へ 講義を終え、渡された地図をぼうっと眺める。会合は三鷹市立のコミュニティセンターの一室を借りてやっているらしい。『もみの木の会』そのものの連絡先はどこにも書いてなく、ただコミュニティセンターへの道順とコミュニティセンターの電話番号が書いてあるだけだ。...

聖トリニティ退魔士会 第四話

第一話へ第三話へ「いや、僕、見学ということで今日ここにきてるので、まだ新入部員じゃないッス」...

聖トリニティ退魔士会 第五話

第一話へ第四話へ 次の会合の連絡は大原さんがしてくれるというので、大原さんにメールアドレスを教えて別れた。...

聖トリニティ退魔士会 第六話

第一話へ第五話へ 会合の日、俺は早めに講義を抜け出て、18時に間に合うように会場へ向かった。18時より少し前に会場に着いたら俺が一番乗りだった。後から大原さんや他の中核メンバーの人たちが来て、「中村くん早いねえ、やる気満々だね!」と褒めてくれた。...

聖トリニティ退魔士会 第七話

第一話へ第六話へ「原子力発電、という言葉を聞いて、関心がおありの方はどのぐらいいらっしゃいますか、ちょっと手を上げていただけますか」...

聖トリニティ退魔士会 第八話

第一話へ第七話へ「私たちはここで、『悪魔』という存在を仮定します。人間は最初、神の声に素直に従って楽園で生きていました。そこに悪魔がやってきて、イヴを誘惑して禁断の木の実を食べさせました。悪魔の誘惑に負け、木の実を食べたイヴとアダムの子孫が私たちです。私たちの中にも連綿と、悪魔の誘惑が受け継がれてきている、というふうに私たちは考えます。なぜそういうふうに考えるかというと、元来私たちは、神の声を素直...

聖トリニティ退魔士会 第九話

第一話へ第八話へ それから俺たちは田口先生を交えて、普段の会合と同じように、身近なことや聖書のことなどについて語り合った。田口先生はあまり口数多く話さなかったが、彼が微笑んで皆の話を聞いているだけで存在感があった。誰もがそこにいる田口先生の目と耳を意識して発言しているようだった。...

聖トリニティ退魔士会 第十話

第一話へ第九話へ 数日後、知らない番号から電話があった。「こんにちは、中村大樹さまの携帯電話でしょうか?」...

聖トリニティ退魔士会 第十一話

第一話へ第十話へ 見学ツアー当日、俺が集合場所に着くと、見慣れた『もみの木の会』メンバーが既に集まっていた。大原さんは来ていなかった。他のメンバーが「急な用事が入ったんだって」と教えてくれた。...

聖トリニティ退魔士会 第十二話

第一話へ第十一話へ 昼食の前と後に、長いお祈りがあった。少々面倒だが、ここにいる限りはしきたりに従うようにしよう。昼食の後には農場・牧場の見学があり、求道者たちとの交流レクリエーションがあり、祈りの時間があり、夕食の前後にまたお祈りがあった。...

聖トリニティ退魔士会 第十三話

第一話へ第十二話へ「今日一日の見学者の皆さんの様子、――特に中村さん、あなたの様子を、松枝さんから聞かせていただきました。『お祈りの時間には、誰よりも熱心に祈っていた。中村さんの熱心さに影響されて、他の見学者たちも熱心にお祈りをするようになった』『農場の見学・体験では、率先して動き、働き、他の見学者の先駆けとなって、周囲に良い刺激を与えていた』とのことです。中村さん、あなたにはそのような素質がありま...

聖トリニティ退魔士会 第十四話

第一話へ第十三話へ「初めまして。牧師の山下あきほと申します。明日からの見学の、案内を務めさせていただきます。よろしくお願いします」...

聖トリニティ退魔士会 第十五話

第一話へ第十四話へ「あれ、山下さん、どうしました? 布団が足りなかったから持ってきてくれたんですか?」「いえ、これは私の分の布団です」...

聖トリニティ退魔士会 第十六話

第一話へ第十五話へ 退魔士たちが帰ってから、山下さんがシャワーから上がった。白いシスター服のまま、ただしヴェールは被っていない。しっとりと湿った黒髪から甘い石鹸が香る。顔は元々化粧をしていなかったようだ。湯上りでも変わらぬ美しさ、むしろ湯気が魅力を添えていた。俺は先ほどの不吉な警告を頭の片隅に押しやって、山下さんの姿態に見惚れた。...

聖トリニティ退魔士会 第十七話

第一話へ第十六話へ 山下さんが何か説明してくれている。一生懸命頭を働かせて聞かなくちゃと思うが、山道を登りながらだと、脳に酸素を充分に回す余裕がない。とても尋常に物事を考え判断できるような状態ではない。...

聖トリニティ退魔士会 第十八話

第一話へ第十七話へ ビデオが始まった。山下さんは俺の斜め前に腰掛けて、俺の方をニコニコしながら見ている。いかんいかん、ビデオに集中しなくっちゃな。...

聖トリニティ退魔士会 第十九話

第一話へ第十八話へ「お疲れ様でした。いかがでしたか。私たちのこと、少しわかっていただけましたか」...

聖トリニティ退魔士会 第二十話

第一話へ第十九話へ 次の日、火曜日で見学ツアーの最終日、山下さんは俺を起こして云った。「中村さん、今日であなたの見学期間が終わりになります。今日は、朝食をいただいた後、私と一緒にチャペルに来てください。そこに武田先生がいらっしゃいます。憶えていらっしゃいますか、金曜日の夜にお会いした司祭の」...

聖トリニティ退魔士会 第二十一話

第一話へ第二十話へ「今日、ここに、一人の若者が、牧師候補としての生活を終え、岐路に立ちました。道は二つに分かれています。一方の道には、私たちがほんの少し先を歩いています。もう一方の道には、何があるのか、私には断言することができません。私たちにできるのは、彼がどちらの道を選ぶのか、見届けることだけです。もっとも、彼が私たちと同じ道を選んだならば、少し先を歩く者として、道を照らすことはできるでしょうけ...

聖トリニティ退魔士会 第二十二話

第一話へ第二十一話へ 夕方には、俺を含めた三人の新牧師のための歓迎パーティが開かれた。メニューはパンとチーズとスープなど変わり映えのしないものだったが、今日は加えて特別にワインが饗された。ワインなんかあまり飲んだことがないが、今日は歓迎される立場だ、一杯も飲まないわけにはいかなかった。山下さんから渡されたグラスをぐいっとあおると、ぐるんと目が回るような酩酊感があって、ほんわかと気持ちよくなった。み...

聖トリニティ退魔士会 第二十三話

第一話へ第二十二話へ いや、性感帯と云うのは違うのかもしれない。俺の手は、山下さんの両手に包まれて、めいっぱいの愛を感じていた。全身が抱きしめられたときに感じる愛の幸せ、そのミニアチュールを、手のひらを通じて山下さんが俺に与えてくれているのだと思った。そう思ったら、俺が何の反応も返さないのが悪いような気がした。俺は身体を横に向けて、俺の片手を包んでいる山下さんの手のひらへ、もう一方の手を添えて握り...

聖トリニティ退魔士会 第二十四話

第一話へ第二十三話へ...

Appendix

プロフィール

右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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