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[T12] まとめtyaiました【聖トリニティ退魔士会 第二十二話】

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聖トリニティ退魔士会 第二十二話

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 夕方には、俺を含めた三人の新牧師のための歓迎パーティが開かれた。メニューはパンとチーズとスープなど変わり映えのしないものだったが、今日は加えて特別にワインが饗された。ワインなんかあまり飲んだことがないが、今日は歓迎される立場だ、一杯も飲まないわけにはいかなかった。山下さんから渡されたグラスをぐいっとあおると、ぐるんと目が回るような酩酊感があって、ほんわかと気持ちよくなった。みんなに歓迎されて、俺は幸せです。俺をとり囲む世界が、全て幸せに満ちているような、そうだ、これは、前にセミナールームでビデオを見ていたときに感じたあの得体の知れない多幸感によく似ている。
 パーティが終わって牧師の宿舎に帰るときには、もう気持ちよさの頂点に達していて、世界がぐるぐる回っていた。夜道を山下さんと二人で歩く。足元が覚束ない。時折山下さんが俺の肩を支えてくれて、おかげで倒れずにすんでいた。山下さんの心配そうな顔がいつにも増して美しく見えた。まるでこの夜空の下に俺と山下さんしかいないような気がした。
「あれ、そういえば、他の牧師の人はどこへ行ったんでしょう」
「もう、中村さんたら、他の方はもう宿舎に戻られましたよ。ちなみに、新牧師の残りのお二方は、別の宿舎に寝泊まりしていらっしゃいます」
「ああ、そうでしたか。どうも記憶があやふやで」
「大丈夫ですか。足元も気を付けてくださいね」
「あはははは、面目ありません。まさかワイン一杯でここまで気持ちよくなっちゃうとは」
 俺はこの面目なさも愉快に思えるぐらい、気持ちよくなっていた。
 牧師の宿舎に着き、山下さんの部屋に帰ってきた。あれ、しかし、俺が正式に牧師になったってことは、俺用の部屋もあてがわれるのかな。
「ねえ山下さん、僕のための部屋っていうのも、そのうち割り当てられるんでしょうか。いつまでもこうして山下さんの部屋に間借りするわけにもいきませんよね」
「そうですね。いずれそのうち、中村さんの個室がどこか割り当てられることになると思います。ですが、それまでは、ここに泊っていただいて結構ですよ」
 正直を云うと、山下さんと同じ部屋で毎晩寝るのはそろそろ限界になってきていた。彼女は無防備すぎる。俺は毎晩、彼女の浴びたシャワーの香りをかぎ、濡れた髪から香る石鹸の香りをかぎ、寝息を数え、寝返りを数え、衣擦れの音に神経を尖らせてきた。そういう試練なのかと思うぐらいに、性欲と闘い続けているのだ。その上今夜は酔って気持ちよくなっている。今夜あたり危険なんじゃないかな、と、頭の片隅の理性がかすかに警鐘を鳴らしていた。

 俺が先にシャワーを浴び、ベッドに入った。入れ替わりで山下さんがシャワー室に入った。まだ酩酊が残っている。これはよく眠れるだろうと思ったが、それがなかなか心臓がバクバク云って寝付けない。そのうちに山下さんがシャワーから上がって、髪をブラシで梳かして布団に入る音が聞こえる。俺は何となく、まだ起きていることがばれないように、寝たふりをした。
 山下さんの布団の方から何やらごそごそと衣擦れの音がする。心臓がバクバク云っているのはアルコールのせいだろうと思いたい。

 その時、俺のベッドの掛け布団の隙間から、山下さんの手が侵入してきた。手は、俺の手を探して掛け布団の中をまさぐり、ついに俺の手を見つけるときゅっと握った。俺は片手で彼女の手を握り返した。これで俺がまだ起きていることがばれてしまった。
 彼女は、何も云わず、俺のベッドの中に両手を入れて、俺の手をにぎにぎと握ったり、撫でたり、さすったりした。俺は酔いが一気に吹き飛ぶような気がしたが、依然として頭の中には酩酊が残っていて、目の前には光がちらちらするような気がした。ペニスがいつの間にかギンギンに勃起していた。山下さんのほんのり湿った両手が、俺の手を上から下から、執拗に執拗に愛撫する。まるで手のひらが全体、性感帯になったような気持ちだ。

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Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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