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聖トリニティ退魔士会 第二十四話

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 私は『山下あきほ』、もちろん偽名ですけど。今は『悪魔憑き』四級です。私が『勤め』ている作業所に、ある日突然司祭の武田先生が来て、「君、牧師の勧誘役をやってみませんか」とか云われたけれど、要するに色仕掛け要員ですよね。顔と身体で選ばれてますよね、私。
 『トリニティ』には本来、「牧師」なんていう役職は存在しません。そもそも、カトリックの真似事をしている『トリニティ』で「牧師」なんて、ちゃんちゃらおかしいです。「牧師」と云うのは、見学者を引き寄せて「あなたには牧師の素質がありますね」とか何とかうまいこと云って合宿所に留まらせるための疑似餌みたいなものです。ま、私もそのテに引っかかっちゃったんですけどね。
 私は牧師として合宿所に入った次の日、いきなり『悪魔憑き』五級に落とされました。毎月毎月、私の評価は下がっていき、四級、三級、二級、一級と、悪魔憑きの度合いがどんどん重く判定されていきました。この合宿所では、五級が一番軽く、一級が一番重い悪魔憑きのようです。そして、一級の人数が一番多く、五級の人数が一番少ないピラミッド型の人数分布になっているようだということが最近分かってきました。私は一度『悪魔憑き』一級まで堕とされましたが、どうにか日々の勤めに耐え抜いて、四級まで這い上がってきました。そこでこの色仕掛け任務です。これ以上ランクを落とされないために、そしてまた上のランクに上がるために(目指せ退魔士! 目指せ求道者!)、この任務はどうしても成功させる必要がありました。中村大樹さん、騙しててごめんなさいね。あなたを堕として、私が這い上がらせてもらいますね。
 中村さんに見てもらったビデオ、あの音声は、実はヘッドフォンを通して聴くことによって、バイノーラルビートによるヘミシンク効果があります。詳しいことはわからないんですけど、音波で脳波を操作して、気持ちよくさせちゃう技術らしいです。
 それから、ビデオを見ている時に飲ませてあげたあの人工的な味のレモネードには、LSDが混ぜてあるっぽいです。司祭の人たちは「聖なる雫」とか「聖なる飲み物」とか何とか云ってますけど、私、高校生のころヤってたから、何となくLSDだろうなって、わかっちゃうんです。これ、法律的にヤバいので、外の人には内緒ですよ。
 面白いように深みにハマっていっちゃう中村さんを見ていて、『ああ、私もこんな感じだったんだろうな』って思いました。人間、自分にとって都合のいいことに関しては、よく考えないんですよね。「どうして俺がこんな悲惨な目にあうんだ」って考察することはあっても、「どうして俺がこんな幸運に」って考察する人はあんまりいないんじゃないでしょうか。そんなふうに突然降ってわいたような幸福な環境の中で、キモチイイお薬を飲んで、キモチイイ3D音響に脳みそ揺さぶられたら、まあ、誰だって洗脳されますって。

 あと、さっきの歓迎パーティで中村さんが飲んでたワイン、あれにもしっかりとお薬が混ぜてあります。たぶん今ごろ中村さんは、目の前がチラチラして頭がふわふわして、とってもキモチよくなっているはずです。私の上に覆いかぶさるようにして必死で自分の体重を支えていますけど、私がちょっとおちんちん撫でてあげるだけで、泣きそうな顔をしながら必死で射精を我慢してる感じです。
 あまりにも私の、いえ、教団の思惑通りに操れちゃうので、中村さんちょっと可愛いな、と思い始めているんですが、私もニコニコしてるのが疲れてきたので、そろそろ射精させて終わりにしたいと思います。カリ首部分を執拗に擦れば男の人は射精するはずです。ああ、息が荒くなってきました。顔もとっても苦しそう。早く楽にしてあげましょうね、ごしごし。あんまり事務的に抜いちゃうのも可哀想だから、最後にキスでもしてあげようかな。おちんちんを触ってる手とは反対の手で、中村さんの首に腕を回して、んちゅっ。
 ……どぴゅるっ。どく、どくっ。キスとほぼおんなじタイミングで、出ちゃいました。私のお腹の上に。白いどろどろした精液がたっぷりと。
 これで中村さんはもう云い逃れできません。私は中村さんの首に回していた手を離して、たっぷり息を吸いました。
「きゃあああああああああ、助けてええええ! 誰か、誰かああああああああああああああああ! いやあああああああああああああああああああ!」
 中村さんは何が起きたのかわからないといった顔をしていました。入口からは、スタンバイしていた退魔士の人たちがドカドカと突入してきて、中村さんを取り囲みました。
「どうしました!?」「レイプだ!」「これはひどい」
「悪魔の仕業か!」「だめだ、完全に悪魔に魅入られてしまっている!」
「悪魔憑きだ!」「早く取り押さえろ!」「拘束服を!」
 何が何だか理解できないポカンとした表情のまま、手際良く連れ去られる中村さん。退魔士の人たち、何だかノリノリで、楽しそうですね。さようなら、中村大樹さん。ようこそ、『悪魔憑き』の世界へ。あなたみたいにナイーヴな青年には、ちょっと厳しい世界だと思いますけど、がんばってくださいね。
 さて、私はもう一度シャワーを浴びることにします。そのあと、武田先生のところに報告に行かなくちゃいけません。

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人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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