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親父の家政婦だった女 第三話

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 西岡ははたと手を止めた。
「えっ」
「どうなさいます? 健一様」
「いや、……あの」
 俺はと云えば、先程から頭の中がパンク状態で、どうして西岡がこういうことをしているのか、親父にもしていたのか、自分は少しでも西岡に対してそういう気持ちを抱いていなかったか、何故手を止めてしまうのか、「どうなさいます」にはどう答えればいいのか、といったことをぐるぐる考え続けていた。

 西岡は暫く、俺が何か云うのを待っているようだった。その間が余計に俺を混乱させた。すると西岡は何かに気付いたような仕草をした。
「あっ、昼間からこういうことをしてしまったのがいけなかったのですね」
「へ?」
「今夜改めてさせていただきますね。それでは失礼します」
 そう云って西岡は、呆気に取られている俺のペニスをパンツの中へ手早くしまい、器用にジッパーを上げ、ふわりと一礼して台所へ戻っていった。後には茫然とした俺と、ズボンの中で窮屈そうな愚息が取り残されるばかり。

 その日は夜まで、努めていつも通りのマイペースで過ごした。西岡は午後に一度買い物に出たが、独り残された俺は、何となくこの隙に抜いてしまうのが不道徳のような気がして、西岡がいるときと同じようにテレビを見たり雑誌を読んだりして過ごした。西岡が帰ってきてもべつだん気にしないように心がけ、強いて平静に振る舞った。

 普段通り夕食を摂り、普段通り風呂に入り、普段通り布団に入る。ひょっとしたら朝の出来事はただの戯れで、このまま何もなく次の日になるのではないか。そんな気がしたところで、毛布の足元からするりと西岡が入ってきた。西岡は無言で、毛布を殆ど乱すことなく、俺の脚と毛布の間に入り込み、脛、膝、股をくすぐるように手を置いて、這うように俺の下半身に取り付いた。パジャマのズボンの上から、股間をまさぐる。一方の手で陰嚢の裏から会陰部をくすぐり、一方の手は下腹部へと侵入してくる。声の混じった吐息が聞こえた。ズボンの薄い生地を通して、熱い息がペニスにかかった。西岡はズボン越しにペニスを甘噛みしたらしかった。
「カチカチですよ、健一様」
 囁くような声が毛布の中から聞こえる。俺には何ができたろう。脚には西岡の肢体がしなやかに絡み付いて、彼女から離れることができなかった。上体を起こしても、今は何の役にも立たない。今すぐに西岡にやめろと命ずるのでなければ、俺にできたのは怒涛のような快楽にただ堪えることだけだった。
「どうしてこんなに硬いんですか。昼間からずっと期待されてたんですか」
 西岡の楽しそうな声に、俺はどう答えていいかわからなくなる。西岡はパジャマのズボンを引っ張り、ペニスを露出させながら云う。
「住み込みの、家政婦に」
 ペニスがぷるんと外へ顔を出す。
「こんな」
 西岡の指が包皮を剥いて、敏感な亀頭を全て露出させる。
「エッチなことを」
 その間にも会陰部への愛撫は止まらず、その感触が全身にピリピリしたものを送る。
「してもらうことを」
 云い終わらないうちに亀頭が唇に包まれる。驚くほど熱い唾液が鈴口を侵す。
「んんー、んん~ん~ん?」
 期待、されてたんですか。西岡の声さえもが、振動となって俺を狂わせる。舌が亀頭の周囲をぬるりと回って舐め抜く。もう快感は限界だった。絶頂のすぐ近くまで上り詰めていた。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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