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親父の家政婦だった女 第九話

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 西岡は露出して大きくなったペニスを目の当たりにして眉一つ動かさず、ボディソープを手にとって泡立て、ペニスを包み込むように撫でた。ボディソープのやわらかく滑らかな泡が、潤滑剤の役割を果たしてペニス全体にぬるりとした感触を与える。ペニスはいっそう大きさと硬さを増す。にゅるんと西岡の手が亀頭を滑った時、ほとんど反射的に腰が引けてしまった。
「いけません健一様。腰を引かれては洗えませんわ」
 そう云いながらも、引いた腰の先まで腕を伸ばして、股をくぐらせて陰嚢や陰茎を入念にこする。一日勃起を禁じられていたペニスは、限界に近付いていた。
「西岡っ……! もう……ヤバい」
「御心配には及びません。もう終わります」
 西岡はペニスに向かって話しかけるように微笑んで、シャワーで俺の下半身の石鹸をすべて流してしまった。何という早業。呆気にとられているうちに、西岡は貞操具の方の洗浄に移っている。そして、
「また勃起がおさまられましたら装着させていただきますね」
 などと平気で云う。
「えっ……あの」
「それとも、昨晩のようにまたメイドに処理をさせたいのですか」
「いや、……そんなことはないが」
 何という言葉の魔術師であろう。いつの間にか、勃起がおさまり次第装着するか、西岡に処理させるか(しかも昨晩のことが、主人がメイドに強いて命じたことのような色合いを帯びている!)の二つの選択肢しか残されていない。しかも後者は何となく道徳的に悪のような気がする。
「では失礼します」
 西岡は俺の前に屈んで、てきぱきと貞操具を装着する。俺の愚息は先ほど散々石鹸で弄ばれて不発に終わった所為で、貞操具のペニスケースが亀頭に触る感触でもうまた反応し始める……が、その勃起は貞操具に阻まれて達成されなかった。西岡はその窮屈な透明のケースをあざ笑うかのように、ぱちりと金属音を響かせて施錠してしまった。
「ちょ、西岡さん?」
 西岡は口元に残酷な微笑を湛え、さらに胸元には金鎖に繋がれた鍵を下げて、優雅に軽く一礼して何も云わずに浴室を後にした。浴室の戸はかちゃりと音を立て、それは俺一人取り残されて立ち尽くす浴室内に、普段以上に大きく響いた。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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