「はいそうです」
「わたくし、『トリニティ』の松枝と申します。中村大樹さま、ご本人さまでいらっしゃいますか?」
「はい本人です」
「確認のため、生年月日を伺ってもよろしいですか?」
何だ何だ、ずいぶん入念なんだな。
「1992年、12月20日です」
「はい、ありがとうございます。本日お電話しましたのは、お申込みいただきました『トリニティ』の合宿所見学ツアーの抽選に、中村さまが当選されましたことのご連絡でございます」
まあ、そうなるだろうな。『もみの木』の集まりには十数人いて、その中から十人を抽選となれば、当選しても何も不思議はない。
「本日はわたくしのほうから、当日の集合時間、持ち物、解散時間等についてご連絡させていただきます。メモのご用意をお願いいたします」
「あっ、はい、ちょっと待ってください……OKです」
「ではまず集合時間と場所ですが、五月十八日当日は、朝八時に、羽田空港第二旅客ターミナル二階、中央吹き抜け付近にお集まりください」
「はい」
「持ち物は、着替え、タオル等入浴用品、歯ブラシ等洗面用品、常備薬等、あとは、参加費の二万円でございます。ここには飛行機のチケット・食費等必要最低限の経費が含まれていますが、他に何かお金を使いたい場合はご持参ください。なお、北海道ですので、夜間は大変冷え込みます。着替えは重ね着ができるものをなるべく多めにご用意ください」
「わかりました」
飛行機込み、四泊五日で二万円というのは、いくら何でも安すぎはしないか。
「この見学ツアーに関する質問、連絡等は、わたくし、『トリニティ』牧師の松枝の携帯電話へお願いします。番号は、090-○○○○-○○○○です」
「090-○○○○-○○○○ですね」
「はい。連絡は以上です。何かお聞きになりたいことはありますか?」
「いえ、大丈夫です」
第十一話へ
コメントの投稿