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全国中学校対抗ペイント弾合戦 第六話

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「それから、武器の管理役は……、実はまだだれと決めていないんだけど、自分ならうまくできるという人がいたら手を挙げてみて」
誰も手を挙げない。まあ当たり前だ。ほとんどの生徒はトシヒコの決断の早さについて行くのがやっとだろうし、トシヒコの求める仕事ができる自信などあろうはずもない。トシヒコは暫く黙った。教室も黙った。トシヒコは首を三十度に固定したまま、ただ眼だけを動かして一人一人を見た。
「ハナ」
トシヒコの目がハナを射抜いた。
「やってくれるか、武器管理係」
「わたし? 何をすればいいの」
「今の武器と弾薬の残量とか、今だれがどの銃を持っているかを記録していて、俺が訊いたときに教えてくれればそれでいい」
「わかった。それならできると思う」
ハナがうなずく。
「というわけなので、自分の銃に弾を補充したい人は、ハナに頼んでくれ。武器や弾薬のことについては、ハナの知らないところで勝手に動かすことのないように」
トシヒコはそう全員に云い渡してから私を見た。
「先生、最初に武器が支給されるのはいつですか」
「確か始業式の次の日だから、四月八日」
「どこの学校も同じですか」
「そう」
「じゃあ、敗退スイッチが機能するのはいつからですか」
「ちょ、ちょっと待って。確か資料に書いてあったはず……」
トシヒコの矢継ぎ早の質問に慌ててしまった。
「あった。敗退スイッチが機能するのは武器が支給された翌日の四月九日です」
「じゃあだめか」
トシヒコ、あなたまさか。
「武器が配られる前に近くの学校の敗退スイッチを押して回ろうなんて考えてたんじゃないでしょうね」
「当たり前じゃないすか」
トシヒコは小馬鹿にしたように云い放つ。
「味方の被害を減らすにはそういう悪だくみが必要なんです」
「まあ、そういう話は他のクラスの学級司令と集まって司令会議をやりますから、その時にしなさい。今は役職を決める時間ですが、他に必要な役職はない? これでいいの?」
トシヒコは頷く。
「なら、みんなの同意を得なさい。それで同意が得られたら、うちの、二年五組の作戦司令部がトシヒコ、ダイト、ハナの三人で決定します」
トシヒコは面倒くさそうに教卓に手をついた。全くこの子は一つ一つの動作が可愛くない。
「同意を得なきゃいけないみたいなので。えー、この作戦司令部に同意できない人、いたら立って」
当然ながら、誰も立たない。というか、指示がずるいぞ、トシヒコ。文句があるやつは立て、なんて、一番心理的抵抗が大きいじゃないか。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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