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親父の家政婦だった女 第二十話

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「実は、ひとつお願いが、約束していただきたいことがあるのですが……」
 亀頭を完全に露出させた状態で、西岡は今まで緩やかに動かしていた指を亀頭から離してしまう。
「毎日三食のお食事は、栄養バランスを考慮してお出ししております。ですから、健一様には、お出ししたものを残さずに召し上がっていただきたいのです」
「それは、残さず食べているじゃないか」
「いえ……」
 西岡は自分の指を舐めて濡らし、亀頭の先端に軽く乗せる。先程の乳首のように、触れるか触れないかの所で乗せられた指先。それが動くか動かないか、かすかに鈴口の周辺で揺れている。
「今日、健一様は、サプリメントの錠剤を残されましたわ」
「あれは……!」
 精子の生成を活発にするためのものだと、昨晩説明したじゃないか! そんなものをこの状況で飲めというのか。
「あの錠剤は、栄養補給のために開発されたサプリメントですわ。摂取していただかないと、計算した栄養バランスが乱れてしまいます」
 指が亀頭先端部を円を描くように滑る。尿道口が軽くめくれてわずかな鋭い刺激を神経に送る。西岡は先端のみを狙って愛撫していた。もっと下を触ってもらえればすぐにでも射精できるのに。
「ですから、あの錠剤をお出しした時には、必ず飲んでいただく、ということを約束していただきたいのです」
「そんな……」
「約束、していただけませんか」
 そう云って西岡がちらりと見た先には貞操具のペニスケースが転がっている。そのさりげない視線の移動は、どんな言葉よりも雄弁に、今この約束を断ればまた射精をおあずけにしてあの貞操具の中に逆戻りさせられることを物語っていた。
「わ、わかった、約束する」
 その恐怖が、俺に反射的に答えさせた。その意味するところなど、深く考えていなかった。ただ、もうおあずけだけは避けたい、それだけだった。
「ありがとうございます。確認のため、約束の内容を云っていただけますか」
 俺の目を覗き込むようにして微笑む西岡。指はまだ亀頭の先端で円運動を続けている。動きが少し大きくなったような気がする。その指の動きにせかされるようにして、俺は口を開いた。
「西岡の出す食事メニューは、完食する」
「それだけですか?」
 ぬちゅ、ぬちゅ。
「えっと、……食後に錠剤を出されたときには、それも飲む!」
「以上のことを約束していただけますか」
 くちゅ、くちゅ。
「約束する!」
「それで結構です。素敵ですよ、健一様」
 西岡はにっこり笑って、指を亀頭に圧しつけたまま、輪を作ってずりゅると下へ滑らせた。指の動きは今までの比ではない。もう片方の手は睾丸から精子を全て搾り取るかのように睾丸を愛撫し、ペニスの方は上下に大きく擦られて、潤滑液は陰茎全体に行きわたっていた。すぐにこみ上げる射精感。身体の奥底から湧き上がってくるような、今までに感じたことのない射精感に戸惑う間もなく、大量の精子が輸精管を駆け上ってきた!

 勢いよく発射される白濁液が、西岡の手と俺のワイシャツや脚を濡らした。西岡は手を止めず、西岡が手を止めないからペニスもビクンビクンと痙攣し、睾丸の中の精子をすべて出してしまおうと五、六回、断続的に精液を噴き出した。

 快楽と引き換えに何かが失われるような気がした。自分が何を約束してこの射精を許してもらったのか、実はよくわかっていなかった。頭がぼーっとして、うまくものが考えられなかった。

 西岡はそんな俺をシャワーへ連れ出し、上半身にワイシャツを羽織って後ろ手に手錠をはめられたままの状態で俺は下半身を洗浄されることになった。西岡はペニスを洗い、睾丸を洗い、貞操具のペニスケースを洗浄してしまうと、乾いたタオルで丁寧に拭いて、また貞操具をペニスにはめてしまった。俺は射精後の喪失感も手伝って、されるがままになっていた。
「明日からが楽しみですわ」
 手錠を外しながら囁かれた言葉で、ようやく、何か自分がとんでもない約束をしてしまったような気がして、茫然と立ちつくしたのであった。

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Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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